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「大学・高校 実践ソリューションセミナー2009 大阪」セミナー報告
えっ、キミの夢って、007? 専任講師 朴 修賢
コミステのリニューアルをしました。
景気を読もう!岡田好史先生
「幸せになる・幸せにする経営学 ~目利きと器量とは~」 児山 俊行 助教授
「幸せになる・幸せにする経営学 ~三方よしについて~」 児山 俊行 助教授
「幸せになる・幸せにする経営学」 児山 俊行 助教授
 
2009年12月09日 11:23
「大学・高校 実践ソリューションセミナー2009 大阪」セミナー報告

現代経営情報学部では、学生が自分の携帯電話を使って出席登録し、先生の授業評価までできる「i-MAS」と名づけたシステムを活用しています。
そのシステムが、11月27日(金)に高校・大学でのIT技術の活用を考える「大学・高校 実践ソリューションセミナー2009 大阪」で展示され、同時にセミナー発表も行いました。(タイトル「ケイタイを活用した出欠確認システムから授業アンケート、双方向授業への展開」)。
おかげさまで、50名定員のメインセミナー会場を割り当てて頂いておりましたが、応募が殺到し、定員の倍に近い応募となったため、急遽広い会場に変更してセミナーを実施するほどの大盛況となりました。
報告内容は以下の通りです。
・関西地区FD連絡協議会を通じた活動
・i−MAS(携帯電話での出欠確認、授業評価アンケートシステム)
 の機能、効果
・他の携帯電話での出欠確認システムとの違い
・FDに活用するための新機能である小テスト、簡易アンケート
・i−MASシステムの今後の展開
・学生とのコミュニケーションツールとしてのi−MASの活用

関西地区の多くの皆様に本学部の取組みを知っていただくことができました。そのことを、学生も誇りに思ってくれています。

今後は今以上にi−MASを活用し、学生を育成していきたいと思っています。


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2007年08月15日 16:26
えっ、キミの夢って、007? 専任講師 朴 修賢

皆さん、もう3月、春が近づいています。まもなく4月になると、新入生を迎えることになります。今年、新入生になる方は、今頃、どんな思いで新しく始まる大学生活を準備しているのでしょうか?また、在学生の皆さんは、新入生になった時の感想を、今も覚えていますか?

随分、昔の話になりますが、私が大学に入った頃のことを思い出すと、まず、頭に思い浮かぶ出来事があります。それは、私が大学に入学して、まもないある朝の通学バスの中で起こった事件です。

それほど満員でもないバスの中で、経営学部の2年生とある新入生、二人の会話が私の耳に聞こえてきました。

先輩:君、卒業したら何になるつもり?  新入生:私、C.I.Aになりたいです。 先輩:何?007の映画にでも出たいわけ? 新入生:・・・・・*_*:?

あの時、バスの中は爆笑どころか、あまりにもきつい先輩の突っ込みのため、空気の半分が凍ってしまいました。さらに、皮肉にも、彼は自分が何を間違えたのか、またなぜバスの空気が一気に冷えてしまったのか、そのわけを知ることができないまま、バスを降りなければならなかったのです。多分、あの時、彼が言いたかったのは、公認会計士のことだと思います。公認会計士は英語でCertified Public Accountantと呼びます。だから、その略語であるC.P.Aとも呼ばれています。

彼の気持ちはよく分かるような気がします。自分もやっと大学生になったのだから、先輩の前で少し偉そうに、格好よく自分を見せたかったのではないでしょうか。しかし、それが誤って, 自分の考えていたものとは全く違うC.I.A、つまり米連邦政府情報局(Central Intelligence Agency)のスパイになりたいという、かなり変わり者の人間になってしまったのです。もちろん、あの場にいた人の中で、まさか彼が本気でC.I.Aのスパイになりたがっていると思う人は、誰もいなかったと思います。

あの日以来、バスでの会話が噂となり、彼は卒業するまで名前で呼ばれることはなく、ずっと「007のあいつ」と呼ばれるようになりました。結局、C.I.Aにも、C.P.Aにもなれなかった彼でしたが、恥をかかされたことに対してリベンジする気持ちだったのか、卒業するまで、かなり優秀な成績を維持していました。

この話を通じて、私が言いたいことは二つあります。まず、一つ目は、C.I.Aでも、007でも、また他に、誰に何をどう言われても結構ですから、新入生の皆さんが、とりあえず、大きな夢を持って、新しい大学生活を始めて欲しいという願いです。夢をもつということは、簡単そうでも、結構難しいことかもしれません。そして、それが叶えることのできる夢かどうかを、今の時点で判断するのも難しいことです。でも、夢をもつということは、新しい出発をする際、かなり高いモチベーションを与えてくれるはずです。

そして、二つ目は、これから、「人間の心理」について一緒に考えてみましょうということです。あの時、彼の間違いに対して、先輩が「007の映画にでも出たいわけ?」という強烈な言葉を投げることなく、単に「それはCPAだよ」と優しく教えることで終わってしまったら、おそらく彼は、それほど目立つ学生として過ごすこともなく、また、恥をかかされたことにリベンジする気持ちにもならなかったかもしれません。人の心理は、意外なことに影響されたり、予想できない行動を作り出したり、影響を及ばしたりします。

企業の経営も、結局は、人間、すなわち消費者、従業員、株主などの心理をいかに企業に有効な方向でコントロールすることができるかによって、その成功がかかっているといえます。とりわけ、消費者の心理と深く関係する分野がマーケティングというものです。

次回では、消費者の心理と関係するマーケティングの物語について紹介したいと思います。

ご期待してください。


2007年07月03日 05:39
コミステのリニューアルをしました。

コミステのリニューアルをしました。


2005年12月26日 10:19
景気を読もう!岡田好史先生

日本の景気は良くなった?
景気のよい話だ」とか「彼は景気がいい」などとよく言いますが、この「景気」は身なりや雰囲気といったあいまいな判断から言うことが多いと思います。私たちの「景気(生活)」の基本である日本の「景気」はどうでしょうか? 最近の日本の株価は、日経平均株価やTOPIXともに4年半ぶりの高値圏にあります。株価からみると、日本の「景気」は大変よくなったといえるでしょう。ただ、株価は現在・将来の景気や外国経済の状況、投資家の心理状況などによって大きく左右されます。この株価だけで「景気」を判断するのは早計かもしれません。では、本当に「景気」は良くなったのでしょうか?日本の「景気」の状況をどのように判断しているのかの見方を知ることは重要だと思います。

景気動向指数の決め方とは?

政府は12月の月例経済報告で景気の基調判断を「穏やかに回復している」と4ヶ月連続判断を据え置(同じ判断)きました。GDP(国内総生産)の伸び率などの経済指標を基に判断して報告しています。この指標の中で、景気を表現する重要な指標として景気動向指数(DI:ディフュージョン・インデックス)というものがあります。この指標は、数ヵ月先の景気動向を示すという先行指数、現在の景気動向を示すという一致指数、景気の影響が数ヶ月後に現れるという遅行指数に区分されています。それぞれの指数を3ヶ月前と比べて、「良くなった」、「変わらない」、「悪くなった」に分けて点数化したものがこれらの指数です。指数が50を超えると景気が上向きとの判断材料となります。

政府が発表した景気動向指数(平成17年12月7日速報値)は、先行指数が80.0%、一致指数が88.9%、遅行指数が75.0%となっています。すべての指数が前月に比べて高い数値になっています。ただ、この指数は10月の指標から計算されたものであり、ほぼ2ヶ月前の数値ですから注意する必要があります。この指数では景気が上昇していますが、一進一退の状況が変わったまでは判断できずに、さきほどの「穏やかに回復している」との表現になったと思われます。なお、この指標を基に景気判断をした図表があります(右図)。これをみると、景気の近況は2001年から2年にかけての景気後退期を最後に緩やかな上昇期を迎えているようです。

景気動向指数

あいまいな「景気」を正確に知ろう

これらの指数以外にも実際の経営者や生活者からの意見も集めています。経営者からのアンケート(法人景気予測調査)では、日本の企業11,000社を対象(大企業、中堅企業、中小企業)に自社と国内の景況、雇用、設備投資などの現況と見通しについて、「上昇」、「不変」、「下降」、「不明」に分けて聞いています。この意見をもとにBSI(「上昇」の企業割合から「下降」の企業割合を引いた数値)を算出しています。BSIの数値が高いほど景気等について良いとする企業が多いことを示しており、景気判断(数値がプラスになれば「上昇」と判断できます)の大きな指標となっています。報道発表(9月26日)によると、BSIについて17年7~9月の現状判断(大企業:9.7、中堅企業:5.5、中小企業:-15.1)、17年10~12月(10.7、7.5、-3.8)、18年1~3月(9.7、6.3、-7.3)となり、大企業、中堅企業は今後も上昇すると判断している企業が多く、景況判断にはよい結果となっています。同じような調査を日本銀行も業況判断指数(DI)という指数で表しています。指数もBSIと同じように「良い」とする企業から「悪い」企業を引いて計算しています。

これらの判断材料とGDPの数値(現状と予測)などによって、日本の「景気」を判断しています。私たちの「景気(生活)」の基盤になる日本の「景気」を正確に認識することが経営情報を学習しようとしている私たちにとっては大切なことと思います。政府が発表する月例経済報告にはいつも注意してください。

注:これらの数値は内閣府経済社会総合研究所等の発表を基にしています


  1. 日経平均株価:東証第一部上場銘柄のうち225銘柄を選び、株価を米国のダウ平均株価の算出方式を参考にして算出された修正平均株価

  2. TOPIX(東証株価指数):東証第一部上場全銘柄の時価総額を基準時(1968年1月4日)の時価総額と比較した数値

  3. 先行指数:在庫率指数(逆に考える)、新規求人数、新設住宅着工床面積などの12指標を採用

  4. 一致指数:鉱工業生産指数、大口電力使用量、小売業商業販売額などの11指標を採用

  5. 遅行指数:第3次産業活動指数、製造業常用雇用指数、家計消費支出などの6指標を採用


2005年09月27日 16:46
「幸せになる・幸せにする経営学 ~目利きと器量とは~」 児山 俊行 助教授

(最終回)
TVで、数々の骨董品や玩具など様々なものを鑑定する番組がありますよね。その中で「いい仕事してますね~」のセリフで一躍お茶の間の有名人となった鑑定士さんを知っていますか。その方はもともと骨董屋の店主をされていて、特に「古伊万里」という古い磁器の鑑定士としては一級だと言われています。ところで、この方が商売でもTVでも人気を呼んでいるのには理由があります。それはまず、どんな陶磁器でも本物・ニセモノをすぐさま見極めてしまう「目利き」という“技術”をお持ちだからです。骨董屋さんですから、お客にニセモノを売りつけないために、またニセモノを高値で買わされないためにも、「目利き」は確かに必要になります。でも、それだけではありません。先代のお父さまから常に言い聞かせられてきたことがあります。それは、「骨董屋は『目利き』と『器量』が大事だぞ」ということだそうです。これが、どういう意味だかわかりますか?

骨董屋には、いろいろな人が「これは本物だと思うが高くで買ってくれないか」と持ってきます。例えば、鋭い「目利き」を駆使して鑑定しニセモノだとわかったとします。「これはニセモノだよ。アンタ、実は高い買い物をしてますから~残念!」などとお客さんが言われてしまえば、どうでしょう?お客さんはおカネを損したことと夢が壊れたことのダブルパンチで、とても落ち込んでしまいますよね。番組でもそうですが、この鑑定士さんは決してそんな風には言いません。「今までその作品を眺めながらお仕事をがんばって来られたのですから、これからも思い出の品として大事になさってはいかがですか。おカネの価値で量ることなんてできませんよ」といった具合に、心に沁みるよう言われます。するとお客さんはどう感じるでしょうか。「そうだ。これはお金なんかで価値が量れないものなんだ」と思うことでしょう。それを見ながら私は「ああ、これがお父さまから言われてきた『目利きと器量』ということか」と感心してしまうのです。骨董品の世界でも、やはり技術とサービスの両方を兼ね備えていることが強みになっていると言えるのではないでしょうか。

最近の世の中を見ると、先に述べてきたように、おカネもうけのポリシーが明快であるにもかかわらず、ただお金を得たいという短絡的で自己中心的な行動が目立つように思います。日本では、おカネの貯め方については結構やかましいと思うのですが、おカネの稼ぎ方や、さらにはおカネの使い方まで、あまり教育されていないような感じがしています。幸せな稼ぎ方を知らないのですから、おカネに困ると安易に消費者金融へ走ったり、人を騙すような商売を強引にやってしまうなど、「すぐおカネを得るためなら何でもする」という人がたくさん出てきても不思議ではありませんよね。また、相手に感謝し感謝されつつ得たおカネでなければ、「自分のおカネは自分で勝手に使ってもいいんだよ」といった考え方も出て来てしまうのではないでしょうか。 

コラムの冒頭から「モノをおカネに替える」という、あまり品のない表現を使ってしまいました。ですが、おカネがないと生活できませんし、学校にも行けません。「モノをおカネに替える」やり方を教える(教わる)のは、実はものすごく大切なことではないでしょうか。だからといって、それはただおカネをやみくもに追いかけることではありません。「おカネではなく仕事を追いかけろ」といわれるように、確かな「技術」と「サービス」で自分も他人もまわりも幸せになることを追いかけることなのです。このような経営学のポリシーを学ぶことこそが、「幸せなおカネもうけ」の一歩になるのではないでしょうか。


2005年08月29日 16:53
「幸せになる・幸せにする経営学 ~三方よしについて~」 児山 俊行 助教授

その商家で生まれた跡継ぎは、その【三方よし】【始末】といった商人感覚を少年時代からみっちりと仕込まれます。
例えば、『てんびんの詩』という映画がありまして、その中で昔ながらの「天秤棒」を担いで行商するという「あきんど」修行が出てきます。それは、近江商人の跡継ぎ少年が小学校卒業早々、質素な身なりでおかずナシの日の丸弁当を下げ鍋蓋(ナベブタ)を売りに歩くというものでした。時は大正時代といっても、鍋蓋などはどこの家庭にもあるものですから、なかなか売れません。彼は親戚などを頼って売りに歩くのですが、これは修行だと事情がわかっているのでやはり買ってくれません。その後、3ヶ月間行商するのですが、どうしても売れません。ところが、とうとう売れる日がやってきました。いったい、どうやって売れたのでしょうか?それは「鍋蓋を売らなかった」からなのです。

当時、農村では水道がなく、みな井戸や川で洗い物をしていました。女性たちは農作業に加え、大家族の洗濯に三度の食事とあと始末と、洗濯機も食洗器もない時代にひとことで「家事」と言ってもそれはそれは大変だったと思います。そこで跡継ぎ候補の彼は苦心の末、鍋を洗うサービスを始めたのです。お代は新品の鍋蓋代というわずかなもの。すると、感心な行商少年がいると伝わり、その集落じゅうからご婦人たちが集まってきて、あっという間に鍋蓋が売り切れてしまったというわけです。

同じような話が、海の向こうの米国に留学した、ある日本人青年のエピソードにもあります。彼は、偶然出合った大富豪にお金持ちになるための教えを受けようとアタックします。大富豪は教えを授けるかわり、その青年に様々な課題を出します。その中に「1000個の電球を3日で全部売ってきなさい」というものがありました。いったい彼はどうやってこの課題をクリアしたのでしょうか?実は、彼もまた「電球を売らなかった」のです。まず高齢者の多い住宅街に焦点を絞り、“電球交換サービス”なるものを始めました。

高齢者の場合、足腰が弱くなり台に乗って電球を替えたりするのがおっくうになりがち。だから電球が切れたままになっている家が多いかもしれない・・・という仮説を立て、さっそく家々を回りました。「切れている電球があったら付け替えます。料金は電球代だけでいいですよ」と。最初の訪問先のおばあちゃんは快く彼を家に迎え入れ、青年は切れている電球を交換しました。しかも丁寧に掃除機までかけたのです。素晴らしい若者がいると感激したそのおばあちゃんは、彼の手をひいて近所の年配者宅を次々と回りました。すると電球はたった1日で売り切れてしまったということです(本田健『ユダヤ人大富豪の教え』大和書房)。

話しはまたまた変わりますが、「痛くない注射針」というものを聞いたことがありますか?この不可能を可能にしたのは、たった6人しかいない町工場の“代表社員”である岡野雅行さんです(岡野工業・東京都墨田区)。その針は、インシュリンを日常的に注射している糖尿病患者さんは皮膚が固まってしまい注射がむずかしくなっていくという相談を受け、技術とコストの難問題を乗り越えて実用化したものなのです。また、皆さんの持っている携帯電話の部品も岡野さんが開発しました。大きな充電量を持つリチウムイオン電池を使おうとする場合、リチウムはその性質から普通に加工をほどこした電池ケースでは液漏れして爆発する危険性があったのです。しかし岡野さんは、1枚のステンレス板から液漏れしない超薄型の電池ケースを見事に作ってしまいました。

岡野さんのすごいのは技術だけではありません。難しい製品を完璧に仕上げるだけでなく、お客である大企業に大量生産できるシステムもセットで販売するのです。そのことによって、岡野工業側に莫大な利益が入ると同時に、大企業側も量産システムを作る手間が省け、すぐに製造・販売ができるので大助かり。つまり、「自分ももうけて、相手にももうけさせる」という【WIN-WIN】をしっかり実践されているのです。例えば、それはこんなところにも現れます。ある機械メーカーの営業マンから「この機械、性能が良いのですけど売れなくって・・・」と相談を受けた岡野さん。すぐさま「まず格安で下請企業に使ってもらったら?本当に良いものなら、その下請の親企業が気付いて高くで買ってくれるよ」とアドバイス。結果はその言葉どおりになったそうです。ともあれ「岡野工業に頼めば、技術面でも利益面でも損はない」ということになり、仕事が途切れない不況知らずの町工場となったのです(岡野雅行『俺が、つくる!』中経出版)。

以上の事例は、お客の立場に立って、モノ(ハード)を売るために一緒にサービス(ソフト)を売った例---【iモード】サービスの付いたネットのできる携帯電話の販売“鍋洗いサービス”によるナベブタ行商“電球交換サービス”による電球販売・量産ノウハウ付きの高難度加工製品の販売---と言えるかもしれません。それぞれのビジネスは、モノをおカネに替えるだけでなく、売り手も買い手も、そして世間とも喜びあうことができたのです。

そして最後に、TVでもおなじみの、ある名セリフで有名な方から学んでみましょう。


2005年07月19日 17:06
「幸せになる・幸せにする経営学」 児山 俊行 助教授

皆さん、突然ですが、「おカネをモノに替える」のと「モノをおカネに替える」のとでは、どちらがむずかしいと思いますか?(ちょっと品のない表現で申し訳ありません)

今の若い人たち(10代)は「おカネをモノに替える」、つまり「何を買えばいいか」といった選択のセンスは確かに鋭いかもしれません。でも「モノをおカネに替える」ことができるのは、せいぜい中古品をリサイクルショップに持っていくか、「商品」でもある自分の労力と引き換えにコンビニで時給アルバイトをすることくらいではないでしょうか。むしろ、本格的にビジネスをやる限り、「どこへ行っても私はやっていける!」と言えなければなりませんし、そのためには、「モノをおカネに替える」ことのできる創造のセンスを磨くことが大切ではないかと思います。

まず最初に、携帯電話とインターネットが合体した【iモード】のお話しから始めたいと思います。現在、数千万ともいわれるユーザーをかかえる【iモード】とその通信業者であるNTTドコモは、このようなサービスを簡単に生み出したわけではありません。実は長い間、その“合体技術”をビジネスの役に立たせることができなかったのです。それは、【iモード】中に企業がホームページを持つためにはたくさんの加入金が必要だったからです。当時、いまだ得体の知れない【iモード】という世界に、いきなり多くの投資をするほどバブル崩壊後の企業は余裕がありません。それでもNTTドコモ側は、とにかく加入金でもうけよう(損せぬようにしよう)というスタンスでしたから、両者にらみ合いのまま、【iモード】技術は宙に浮いたままだったのです。

それを解決したのが、ある一人の女性です。その方は携帯電話がキライで、当時は持ってもいないし、使ったこともない、使い方も知らないというような方でした。それでも、【iモード】という「サービス」を創造したのです。このような“携帯音痴”の一女性が、どのように新しい技術をしっかりビジネスに生かすことができたのでしょうか?要するにそれは、【iモード】に関わる全ての人々が得をする(だれも損をしない)仕組みを考えたからなのです。

まず彼女はNTTドコモに、【iモード】への加入金を廃止させて、HP設置の場所だけ貸すようにしました。そうすれば、例えば着メロ配信企業の場合、①【iモード】にHPを作ってユーザーを呼び込み、②気に入ってもらえれば月に300円程度の登録料で着メロをダウンロードし放題にする。③ユーザーは低額なため気軽に登録し、いつでもどこでもダウンロードできる。それで【iモード】がにぎやかになってくると、④最初は場所貸しだけだったNTTドコモにも通信パケット料で利益が生まれてくる・・・といった仕組み(ビジネスモデル)を彼女は提案したのです。

このように、そこに関わる全ての立場の人が得をするようなビジネスモデルを【WIN-WIN】モデルというそうです。直訳すれば「勝者と勝者」モデル、ということになるのでしょうか。一方で「勝ち組」「負け組」という表現があるように、資本主義というものは必ず「勝者と敗者」が生まれると言われています(さらにエスカレートして、「相手に損をさせて自分のもうけにする」方式の「悪徳商法」や「振り込め詐欺」すら、まかり通るのが今の社会です)。ところが、最近のビジネスモデルの成功例は、この【WIN-WIN】パターンが多いそうです。そこには利益だけでなく、賞賛と尊敬と信頼と感謝もついてくるという大きな“おまけ付き”なのです。この【WIN-WIN】モデルは海外発のものらしいのですが、実は日本でも昔からその考え方は存在していました。皆さん、ご存知でしょうか?

それは商人(あきんど)の【三方よし】というもので、「売り手よし、買い手よし、世間よし」というものです。それは単なる【WIN-WIN】にとどまらず、今で言う「企業の社会的責任」も、「企業利益」と「顧客満足」とともに三両立させる理念だと言えるでしょう。この起源は、安土・桃山時代の「楽市・楽座」で経済発展した琵琶湖地域発祥の“近江商人”にあります(現在の有名な老舗企業で、この近江商人を源にしているものがいくつかあります)。かつて豊臣秀次が開いた近江八幡という町へ行くと、昔ながらの水路や家並みが保存されています。そこにある、かつて豪商と言われた西川家の邸に入ってみると、中は確かに広いのですが、家族や多くの奉公人が働き、一緒に住むことを考えると、十分に余裕のある広さとはいえないような気がしました(立派なお庭もありますが、これも大きいというわけではありません)。どうやら彼らには、いわゆる【始末】という考え方が徹底されていたようです。つまり、普段の生活では質素にしながら、いざという時にはお客さまや将来の大きな利益のためにおカネを惜しまないという商人感覚であって、何かにつけて出し惜しみをする「ケチ」などとは全く違うものだそうです。

では、次回に【三方よし】を具体的な例で考えてみましょう。


 
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