皆さん、もう3月、春が近づいています。まもなく4月になると、新入生を迎えることになります。今年、新入生になる方は、今頃、どんな思いで新しく始まる大学生活を準備しているのでしょうか?また、在学生の皆さんは、新入生になった時の感想を、今も覚えていますか?
随分、昔の話になりますが、私が大学に入った頃のことを思い出すと、まず、頭に思い浮かぶ出来事があります。それは、私が大学に入学して、まもないある朝の通学バスの中で起こった事件です。
それほど満員でもないバスの中で、経営学部の2年生とある新入生、二人の会話が私の耳に聞こえてきました。

あの時、バスの中は爆笑どころか、あまりにもきつい先輩の突っ込みのため、空気の半分が凍ってしまいました。さらに、皮肉にも、彼は自分が何を間違えたのか、またなぜバスの空気が一気に冷えてしまったのか、そのわけを知ることができないまま、バスを降りなければならなかったのです。多分、あの時、彼が言いたかったのは、公認会計士のことだと思います。公認会計士は英語でCertified Public Accountantと呼びます。だから、その略語であるC.P.Aとも呼ばれています。
彼の気持ちはよく分かるような気がします。自分もやっと大学生になったのだから、先輩の前で少し偉そうに、格好よく自分を見せたかったのではないでしょうか。しかし、それが誤って, 自分の考えていたものとは全く違うC.I.A、つまり米連邦政府情報局(Central Intelligence Agency)のスパイになりたいという、かなり変わり者の人間になってしまったのです。もちろん、あの場にいた人の中で、まさか彼が本気でC.I.Aのスパイになりたがっていると思う人は、誰もいなかったと思います。
あの日以来、バスでの会話が噂となり、彼は卒業するまで名前で呼ばれることはなく、ずっと「007のあいつ」と呼ばれるようになりました。結局、C.I.Aにも、C.P.Aにもなれなかった彼でしたが、恥をかかされたことに対してリベンジする気持ちだったのか、卒業するまで、かなり優秀な成績を維持していました。
この話を通じて、私が言いたいことは二つあります。まず、一つ目は、C.I.Aでも、007でも、また他に、誰に何をどう言われても結構ですから、新入生の皆さんが、とりあえず、大きな夢を持って、新しい大学生活を始めて欲しいという願いです。夢をもつということは、簡単そうでも、結構難しいことかもしれません。そして、それが叶えることのできる夢かどうかを、今の時点で判断するのも難しいことです。でも、夢をもつということは、新しい出発をする際、かなり高いモチベーションを与えてくれるはずです。
そして、二つ目は、これから、「人間の心理」について一緒に考えてみましょうということです。あの時、彼の間違いに対して、先輩が「007の映画にでも出たいわけ?」という強烈な言葉を投げることなく、単に「それはCPAだよ」と優しく教えることで終わってしまったら、おそらく彼は、それほど目立つ学生として過ごすこともなく、また、恥をかかされたことにリベンジする気持ちにもならなかったかもしれません。人の心理は、意外なことに影響されたり、予想できない行動を作り出したり、影響を及ばしたりします。
企業の経営も、結局は、人間、すなわち消費者、従業員、株主などの心理をいかに企業に有効な方向でコントロールすることができるかによって、その成功がかかっているといえます。とりわけ、消費者の心理と深く関係する分野がマーケティングというものです。
次回では、消費者の心理と関係するマーケティングの物語について紹介したいと思います。
ご期待してください。 |