| 日本の景気は良くなった?
「景気のよい話だ」とか「彼は景気がいい」などとよく言いますが、この「景気」は身なりや雰囲気といったあいまいな判断から言うことが多いと思います。私たちの「景気(生活)」の基本である日本の「景気」はどうでしょうか? 最近の日本の株価は、日経平均株価やTOPIXともに4年半ぶりの高値圏にあります。株価からみると、日本の「景気」は大変よくなったといえるでしょう。ただ、株価は現在・将来の景気や外国経済の状況、投資家の心理状況などによって大きく左右されます。この株価だけで「景気」を判断するのは早計かもしれません。では、本当に「景気」は良くなったのでしょうか?日本の「景気」の状況をどのように判断しているのかの見方を知ることは重要だと思います。
景気動向指数の決め方とは?
政府は12月の月例経済報告で景気の基調判断を「穏やかに回復している」と4ヶ月連続判断を据え置(同じ判断)きました。GDP(国内総生産)の伸び率などの経済指標を基に判断して報告しています。この指標の中で、景気を表現する重要な指標として景気動向指数(DI:ディフュージョン・インデックス)というものがあります。この指標は、数ヵ月先の景気動向を示すという先行指数、現在の景気動向を示すという一致指数、景気の影響が数ヶ月後に現れるという遅行指数に区分されています。それぞれの指数を3ヶ月前と比べて、「良くなった」、「変わらない」、「悪くなった」に分けて点数化したものがこれらの指数です。指数が50を超えると景気が上向きとの判断材料となります。
政府が発表した景気動向指数(平成17年12月7日速報値)は、先行指数が80.0%、一致指数が88.9%、遅行指数が75.0%となっています。すべての指数が前月に比べて高い数値になっています。ただ、この指数は10月の指標から計算されたものであり、ほぼ2ヶ月前の数値ですから注意する必要があります。この指数では景気が上昇していますが、一進一退の状況が変わったまでは判断できずに、さきほどの「穏やかに回復している」との表現になったと思われます。なお、この指標を基に景気判断をした図表があります(右図)。これをみると、景気の近況は2001年から2年にかけての景気後退期を最後に緩やかな上昇期を迎えているようです。

あいまいな「景気」を正確に知ろう
これらの指数以外にも実際の経営者や生活者からの意見も集めています。経営者からのアンケート(法人景気予測調査)では、日本の企業11,000社を対象(大企業、中堅企業、中小企業)に自社と国内の景況、雇用、設備投資などの現況と見通しについて、「上昇」、「不変」、「下降」、「不明」に分けて聞いています。この意見をもとにBSI(「上昇」の企業割合から「下降」の企業割合を引いた数値)を算出しています。BSIの数値が高いほど景気等について良いとする企業が多いことを示しており、景気判断(数値がプラスになれば「上昇」と判断できます)の大きな指標となっています。報道発表(9月26日)によると、BSIについて17年7~9月の現状判断(大企業:9.7、中堅企業:5.5、中小企業:-15.1)、17年10~12月(10.7、7.5、-3.8)、18年1~3月(9.7、6.3、-7.3)となり、大企業、中堅企業は今後も上昇すると判断している企業が多く、景況判断にはよい結果となっています。同じような調査を日本銀行も業況判断指数(DI)という指数で表しています。指数もBSIと同じように「良い」とする企業から「悪い」企業を引いて計算しています。
これらの判断材料とGDPの数値(現状と予測)などによって、日本の「景気」を判断しています。私たちの「景気(生活)」の基盤になる日本の「景気」を正確に認識することが経営情報を学習しようとしている私たちにとっては大切なことと思います。政府が発表する月例経済報告にはいつも注意してください。
注:これらの数値は内閣府経済社会総合研究所等の発表を基にしています
- 日経平均株価:東証第一部上場銘柄のうち225銘柄を選び、株価を米国のダウ平均株価の算出方式を参考にして算出された修正平均株価
- TOPIX(東証株価指数):東証第一部上場全銘柄の時価総額を基準時(1968年1月4日)の時価総額と比較した数値
- 先行指数:在庫率指数(逆に考える)、新規求人数、新設住宅着工床面積などの12指標を採用
- 一致指数:鉱工業生産指数、大口電力使用量、小売業商業販売額などの11指標を採用
- 遅行指数:第3次産業活動指数、製造業常用雇用指数、家計消費支出などの6指標を採用
|